自己破産急増の理由

いわゆるバブルの崩壊後、自己破産の申請数が急増しました。

自殺者数の増加と足並みを揃えるように、1998年に10万件を超えてからは増加のペースが速まって、2003年をピークとして現在は徐々に減少傾向にあります。

この自己破産申請数の急増の原因の一つとして、「ゆとりローン」という政策の失敗が挙げられるでしょう。

ゆとりローンとは、1993年に住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)がはじめた融資制度のことです。

これは日本版サブプライムローンのようなもので、当初の5年間は返済額がとても低く設定され、6年目以降は債務者の収入の増加を見込んで、返済額が多くなるというものでした。

目先の返済額の低さが魅力で、初年度だけで約70万件、2年間では約110万件の毛役が成立したといわれています。

政府の肝いりで始められた制度だったので、誰もが安心してしまったのでしょう。

しかし、90年代以降日本の経済は低空飛行を続け、ゆとりローンを借りた人の年収は思うように上がりません。

そして、ゆとりローンのゆとりは最初の5年間だけで、続く6年目からは支払額は1.5倍に、さらに11年目からは2倍になってしまいました。

こうして返済不能となって、せっかく手に入れたマイホームを手放す人が増加したのが、ゆとりローン導入から5年目の1998年でした。

家を売ってローンを完済できたのであれば自己破産の必要はありませんが、バブル崩壊以降、地価は下がり続け、さらに新築の家も中古になるので価格が激減します。

家を売ってもローンが残り、自己破産せざるを得ない人が急増したのが、2003年前後です。

ゆとりローンは2000年に廃止となりましたが、自己破産者の数が劇的に減ることはなかったのです。